1回目の抗がん剤投与終了が終わり、骨髄抑制もさしたる影響も出ず退院しました。
入院中、便秘に悩まされましたが、自宅に戻った途端、下痢が始まりました。
2日程続きましたが、その後はまずまずのお通じに戻りました。

投与から8日目の亊、右の手首に赤い発疹と痒みを感じました。蚊に刺されたのかなと思って虫さされの薬を塗りましたが、一向にかゆみは治まらず、発疹は広がっていきました。痒みで眠れずに朝を迎え、アレルギー反応かもしれないと病院の救急外来に行きました。
病院に着く頃には、発疹はほぼ全身に広がっていました。顔には比較的出ませんでしたが。
救急外来で血液検査をするための血管を探すのにも苦心する程でした。先生のお話では、抗がん剤を使うと血管が硬くなるとのこと。
抗アレルギー剤の点滴を受けながら、産婦人科の先生の診察を待ちました。

産婦人科の先生に診て貰うと、抗がん剤のアレルギー症状が出たらしいとの事。だいたいは救急外来で投与を受けた抗アレルギー剤で症状は治まるはずとのお話でしたが、一向に治まらなかったため、もう一種類抗アレルギー剤を投与。内服薬の処方をうけ、その日は帰宅しました。

しかし、翌日になっても症状はおさまらず、もう一度病院へ。産婦人科の先生から手配して下さった皮膚科を受診。皮膚科の先生はパクリタキセルのアレルギー症状とのことで、より強い内服薬と、ステロイドの軟膏を処方されました。
前日に処方された内服薬もそのまま服用するようにとのことでした。
入浴もぬるめのお湯で、擦ったりしないように。洋服もゆったりしたものを着るようになど注意がありました。夏の事だったので、入浴はシャワーで済ませ、軟膏を全身に塗ります。暑いと痒みが酷くなるので、濡らしたタオルを冷蔵庫で何枚か冷やしておいて、手足に巻いておきました。
皮膚科の受信を続けながらケモ外来を受信。好中球の値も5.0と下がらず、2回目の投与を待ちました。

髪の毛は1回目の投与後10日目頃から抜け始めました。大学病院の資料室にウイッグの相談室が有ったので、最初の手術の入院中に色々お話を聞いて、抗がん剤の投与前にウイッグを準備。
投与のスケジュールに合わせて自毛のカットとウイッグの受け取りをして、頭皮ケア用品も用意しました。便利だったのが、食品工場でよく見かけるような紙製の帽子。ウイッグのショップで購入。抜けた髪が帽子の中に貯まるので1日に1度位そのままゴミ箱へポイ。掃除がスゴく楽でした。コロコロも小さめのものを枕元に置いて、掃除はマメに。シャンプーの時に大量に抜ける髪は市販の排水口用の髪の毛キャッチャーにこれまた市販の台所用の水切りネットをかぶせて排水口の詰まりを予防(これは母のアイデアです)。
綺麗に過ごせた事が意外に脱毛のイライラみたいなものを感じなくて良かったです。

3週間後、2回目の抗がん剤投与は、TC療法ではなく、DC療法に変わりました。
パクリタキセルでアレルギー症状が出た為、パクリタキセルに似たドセタキセルという薬に変えたものです。ドセタキセルはパクリタキセルよりも骨髄抑制が強くでる特徴があります。
初めの予定では2回目以降の投与は通院の予定でしたが、薬が変わった事で再度の入院となりました。前回出た発疹は痒みもおさまり、薄い色が残っている状態でしたが、先生方は特にアレルギー症状を気にかけて下さいました。
2回目も初めの2日位は特に症状もなく過ぎましたが、3日目から疲労感・吐き気・味覚の異常が出ました。食事も前回と同じく売店で食べやすいものを買ってきて食べていました。
便秘が3日程続いた後は下痢。
特に酷かったのは身体のだるさでした。骨髄抑制の影響です。投与から6日目に退院しましたが、その日の好中球は1.3で投与前の8.5からかなり下がっていました。

3回目の投与から通院に変わりました。
血液検査の結果を待って診察、その後抗がん剤。DC療法はTC療法に比べて2時間程投与にかかる時間が短くなりました。
この頃から骨髄抑制の影響が強くなり、好中球の値が3.0を少し超えたところで抗がん剤の投与。1週間後にケモ外来で血液検査をすると0.5あたりになって、白血球を増やす注射をするという繰り返しになりました。
酷い時は0.3まで下がり、注射を1日おきに2回となったこともありました。

3回目の投与の翌日から仕事に復帰。但し2時間だけ。投与から3日くらいはさしたる症状もなく割と元気だったので出勤をして、体調が悪くなるその後3日~5日は仕事を休み、回復したら出勤というパターンになりました。
職場の理解有っての事でした。その点は大変感謝しています。ウイッグを付けて出勤したところ頭痛がしたのでその話をしたところ、帽子をかぶっての勤務を許可していただいたり、周りの方には大変迷惑をおかけしたと思います。

そんな調子で投与が続きました。CA125の値は順調に下がっていました。造影CTでも腫瘍が小さくなっていっている事が見えていました。
続けていくうちに、今度はカルボプラチンの影響が出てきました。手や足の指先が黒ずみ、痺れが出始めました。両足に筋肉痛も出て、筋肉のこわばりを和らげる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬と痛み止めのロキソニン、痺れ対策にメチコバールと牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)を服用。でも、劇的に良くなる感じはありませんでした。
痰も出やすくなりました。むくみも出始めました。疲労感も強いです。仕事は最大3時間のペースで続けていましたが、帰宅するとさすがに動く気が失せました。
髪の毛も殆ど抜けたほか、眉毛・まつげも抜けました。コンタクトレンズを使っていましたが眼鏡に変えました。元々アイブロウを描くのは慣れていたので、それ程苦にはなりませんでした。つけまつげは1度挑戦しましたが上手く行かず、使いませんでした。手足のムダ毛も無くなったので肌はツルツル。これは抗がん剤のいいとこ探し?

7回目の投与が終わって8回目の投与前の血液検査でCA125は140台に下がり、このまま下がっていけばいいなと思っていたのですが、この頃が「底」だったようでした。
抗がん剤に耐性が出てきたらしいです。主治医の先生に「いずれは下げ止まる時が来ると思うので、その時が手術の考え時」とのお話を聞いていたので、そうなんだみたいな感じでした。
腫瘍は小さくなってはいましたが、あちこちにできていることに変わりはなく、手術となればかなり大きくなります。先生も手術に踏み切るか、抗がん剤を変えるか迷っているとのお話でした。TC療法からDC療法の計9回の投与を終えたところで教授の診察も受け、同じく迷うところだという意見でしたが、腫瘍が有る以上はマーカーの値も下がらないと思い、私から手術をお願いしました。
但し、手術まで1か月位あったため、1回抗がん剤投与をする事になりました。病院の資料室で読んだ本にあったイリノテカンという薬を使うのかと先生に聞いてみましたが、下痢が酷いので使わないとのこと。

10回目の投与はドキシルという新薬です。
ドキソルビシンという薬をリポソームという脂質のカプセルで包んだ薬です。血液中の免疫細胞に捕捉されにくい為に血液中で分解されにくく、効果が長く続きます。正常な血管の壁は通りにくい反面、ガン組織の新生血管の壁は通り抜けるので、ガンの組織そのものに薬が蓄積して効果が発揮されるものです。
4週間に1回の投与をします。
ただ、新薬なので値段が大変高いです。1回の投与で12万円あまり必要です。私の場合は最初の手術の前に病院からすすめられて社会保険の限度額認定を申請していましたので、費用はあまり心配せずにすみました。限度額認定を受けていなくても後から高額療養費の申請をすれば戻ってくるのですが、2か月程後になるので、予め申請をしておく事をおすすめします。

心臓の筋肉に影響を与えるため、投与の前に心臓のエコー検査をします。私は別に問題なく、投与が始まりました。TC療法やDC療法のように吐き気止めのデカドロンは使わず、生理食塩水でルートを確保した後いきなりドキシルの投与です。約1時間半かけて終了後は再び生理食塩水でチューブの中の薬を体に入れきって終了です。短時間で終了するので、楽でした。

ドキシルの副作用で大変なのは口内炎と手足症候群で、吐き気や骨髄抑制は比較的少ないです。脱毛も殆どありません。
1回目の投与では口内炎などの症状は殆ど現れずに、手術の日を待ちました。

投与の4週間後が手術になりました。卵巣・子宮の全摘出の他、肝臓の一部切除・大網に出来ていた腫瘍と小腸の表面に出来ていた腫瘍を剥ぎ取るなどの手術になりました。

手術の4週間後、2回目のドキシル投与。手術の影響が残っているのか吐き気が少し出たほか、3週目頃から口内炎の症状なのか口の中がイガイガしたような感触がありましたが、それ程酷くはなりませんでした。

3回目のドキシル投与前の診察の時も口内炎も手足症候群も殆ど症状が出ていなかったので、先生も「今出てなければ多分症状は出ずにすむでしょう」とのお話でしたが、やっぱり出ました。
3週目の頃から口内炎と手足症候群です。食べ物や飲み物がしみます。手の平が赤くはれて痒みもあります。手荒れもあります。低刺激のハンドクリームを塗りますが、ガサガサに荒れました。そのうちに足にも症状が出始めました。

4回目の投与前の診察で手のひらをみた先生は、投与を止めることも仰っていましたが、手術後3回の投与で終了する予定でもあったので、最後の1回と思って投与をしました(自分でお願いしました)。ドキシルは心臓の筋肉に影響するので、長く使う薬ではないそうです。
でも、やっぱり症状は酷くなりました。手は手の平だけでなく指まで赤く腫れて痒みが酷く、足はちょうど靴が当たる部分が水ぶくれになり、そのうち膿みが出て、においも凄かったです。スポーツ選手がよく使うアイスバッグを購入して、赤くなったところを冷やすと気休め程度ではありましたが楽になりました。
次の診察で先生がステロイドの軟膏を処方して下さり、腫れ上がった場所に塗りました。仕事中は靴を履かない訳にはいかないので、ガーゼにコットンを厚く挟んでパッドのようにして当てて包帯を巻き、シルクの靴下を履きました。手も指から手の平まで包帯でした。
ステロイドの効果は良く、処方後2~3日で痒みは治まっていきました。腫れや赤み・水ぶくれが完全に治るのには更に2か月位かかりました。

病気そのものについてですが、手術で見えている病巣は除く事ができた事と、ドキシルが効いたので、マーカーは現在1桁台になっています。先生のお話では20以下を目指すとの事でしたので、思った以上の良さかなと思っています。今は4週間おきに血液検査を受けながら、年明けのCT検査を待っています。
DC療法が今年の1月で終了したので、髪の毛も生えてきました。最初はクルクルの天然パーマのような髪の毛で白髪も前より多かったのですが、最近は元の髪の毛に近くなっています。
仕事も9月半ばからフルタイムに戻りました。肝臓を手術したせいか以前より少し疲れやすくなったかなとは感じますが、元気で過ごしています。