1年前医師から告げられた言葉は癌でした。
2010年27歳で結婚し、仕事も転職したばかりの所で徐々に慣れてきたところでした。
研究アシスタントという環境、結婚生活、最初は大変だったけれど、それといってストレスもなく楽しく過ごしていました。でも体はストレスの塊だったみたいです。

変調。夜に眠れなくなる。なかなか治らない肩こり。動悸、めまい、吐き気、そして胸の痛み。完全にストレスに侵された体はどんどん症状として現れました。
私はすぐ病院に行き、胸の痛みを訴えました。しかし医者は 「あ~肋間神経痛だねー」とそれだけ。
納得いかない私は3件の病院を回りました。整形、内科、循環器 どれも肋間神経痛という診断。これは癌の見つかる2か月前のことです。

この納得いかない診断にまたストレスを抱える日々。
第二の変調は体温が35度台になってしまったこと。
普段は36度8分と割と高いのに、この頃は35度台から上がらなくなっていました。後から知るのですが癌は35度台が好みのようです。
そんな日々がつづき2011年6月所内の健康診断が始まりました。
医務室に呼び出され、「右肺に24㎜コインリージョンあり、要精密検査」と告げられました。
一瞬さーっと血が引いた感じがしました。もしかして癌なのか!?
色々考えても、私の家系は癌でなくなった人がいない、そして誰もたばこを吸わない。 この時、私のなかで【癌】という選択肢は消えました。
翌月紹介状を書いてもらい総合病院へ。
みんなに「癌かな?」と笑いながら言ったら、「絶対ないから大丈夫だよ!良性だよ。そんな健康な体してるんだから!」と励まされながら検査に向かいました。
ところが、そこでレントゲンに真っ白なまん丸いものが。
あれ?2か月前3か所回ってレントゲンを撮ったとき何も写らなかったよ?しかも大きい・・・。 担当の医師も2か月前に受けた病院からレントゲンを取り寄せて不思議がっていました。
「こんなに急に大きくなるのは悪性ではないと思うよ?悪性なら徐々に大きくなるし・・・。あなたの場合腫瘍が血管につながってなくて独立しているので判断できるのは手術しかないです」
と言われ、私は即座に「今すぐにでも手術で!」と言いました。私には、癌だという確信があったから。

2011年8月手術が始まりました。
親、旦那には「2~3時間で終わったら良性だと思ってください。 それ以降だと悪性の可能性が高いということです。」 と医師から話がありました。

そして朝9時からオペが始まり、私が麻酔から目を覚ました時、 最初に目に入ったのは正面の時計、時刻は17時半を指していました。
その時私は、「なるほど」と心でつぶやきました。

病理検査の結果は悪性、肺腺がん1a期。上葉3分の1、リンパ節切除。
運がいいことに、転移はなくこの手術のみで終わり1週間後には退院し仕事にも復帰できました。

術後の後遺症に悩まされながらも体から悪いものが取れたし、普通の生活もできるしなんら変わりはありませんでした。仲のいい人には「強いね~」と言われたけど、「強くはないよ。でも前に進まないとどうしようもない状態なんだよ」と言いたい気持ちでした。

それから少したって婦人科の癌も気になり始めました。
それまでも年1~2回は受けてきたのですがが結果はマイナス。
肺のことがあってから体に敏感になり婦人科で乳がん、頸がん検診を受けました。
実家に送られてきた結果は子宮頸がんクラス3b。
3bってもう広がってるの??心臓がバクバクして毎年受けている婦人科の病院を恨みました。こんなになるまでみつからないの!?って。
でも検診のクラスと癌のステージは違うらしく偽陽性という感じでした。
HPVは16型。一番やっかいで癌になる可能性が高いと言われました。
医師には「すぐにでも手術しましょう。将来のためにも子宮は残したいから、できることはやるけど、覚悟もしといてください」って言われました。
この時は子宮よりも自分の命の方が大事という思いが強かったのです。
結果は上皮内癌0期で手術も手前をほんの少し切るだけで、完全に取りきれました。

体から次々と見つかる癌に死への恐怖と不安でパニック障害を発症してしまいました。
何かに憑りつかれたようにインターネットで病気を調べたり、少し痛いとか体調がおかしいと再発したんじゃないか?新しい癌でもできたのか?と頭の中はとにかく癌でいっぱい。
子宮は残したもののこんな体じゃ子供さえ無理と悩んだり、泣いたり、怒りや不安を家族にぶつけ、口を開けば醜い言葉ばっかりでした。癌になったことないから私の気持なんか分かんないんだよ!っと。こんな状況に自分が耐えきれず仕事も辞めてしまいました。

人間の脳はとことん落ちるとこまで落ちて考えに考えたら、自然といい方向に向かわせてくれる力があるんでしょうか。ある日ふとこの状態は自分を見つめなおす機会を神様が与えてくれたんだって思えるようになりました。自分のことしか見えていなかった私は家族の支えに気づき、周りに励まされやっと前を向くことができました。

癌=死 これはほんと自論ですがイコールでは結ばれないと思っています。
若年性の癌は本当に進行が早いですが、回復力はもっと早いと思っています。
20代での癌は珍しいものでもないこの時代、子宮頸がん検査、健康診断など早期発見につながるならばこれほどラッキーなことはありません。
癌にならない体、これ以上悪化させない体を目指しています。